開咬

朝晩はすっかり涼しく、過ごし易くなりましたね。皆さま、お元気でお過ごしでいらっしゃいますか?。

正しい噛み合わせはお口の健康のために大切です。噛み合わせが正しく合っていない不正咬合の一種「開咬」についてご説明します。

「開咬」は1220歳の1割に見られるといわれ、珍しくない症状です。上下の前歯が前の方に開くように飛び出て、奥歯を噛み締めても上下の前歯の歯列の間に隙間が出来てしまいます。

<開咬の原因>

①舌の位置が正しくないと舌が常に前歯を押し出してしまい、その力の影響で歯が開いてしまいます。②指しゃぶりの癖が学童期以降まで長ければ長いほど、上下の前歯を押し広げる悪影響となります。③鼻呼吸ではなく口呼吸をしていると唇の筋肉が弱くなり、口腔内の筋肉のバランスが乱れて、開口になりやすくなります。④唇を舐めたり、唇をかむなどの癖でも開咬になる可能性があります。⑤そもそもの骨格、遺伝が原因と判断されることもあります。

<開咬の治療が必要なわけ>

①本来歯列の全体で噛み合うはずの歯が特定の奥歯でしか噛み合わない状態では、歯自体また顎関節に無理がかかり、傷めることになります。②開咬により舌の位置が正しくなくなる傾向があります。舌が正しく動かないと食べ物を噛んだり飲み込んだりしづらくなります。③開咬で口の中が乾燥した状態になると、唾液が減り口腔内の中和作用が働かなくなるので虫歯に、そして細菌が増殖しやすくなるので歯周病のリスクが高くなってしまいます。④開咬状態では歯が邪魔になって口が閉じにくいので、口呼吸が定着しやすくなります。すると口の中が乾燥して口臭の原因になったり、なによりウィルスの侵入が起きやすく風邪などの病気にかかるリスクが上がります。⑤食べ物の咀嚼がしっかりできないので胃腸に負担がかかったり、前歯に隙間があると空気が抜けやすく、発生に支障をきたしやすくなります。

<開咬の治療・改善方法>

①まずは舌の癖を止めることが大切です。舌の位置が悪いようなら舌癖のトレーニングMFTを受けて唇や口周りの筋機能を高め、癖を改善していきます。②ワイヤーブラケット法など歯列矯正。③マウスピースなど機能的顎矯正装置での治療。④抜歯や外科手術。

「開咬」は見た目や歯の問題だけでなく、癖が絡んでいたり、全身の健康を左右する可能性のある状態です。そして多くの人にみられる、珍しくない不正咬合咬合です。もしかしたら。。と気になることがありましたら、一度、噛み合わせのチェックにいらして下さい。

日中の暑さはまだ厳しい日もございます。どうぞお身体ご自愛ください。

担当は歯科医師小嶋でした。

指しゃぶり

まだ5月なのに、連日真夏の暑さですね。暑さからの体力消耗、お疲れなど出ていませんか?。

今回はお子さんの健診でよく質問を受ける指しゃぶりについてお話ししたいと思います。

まず指しゃぶりによって起こる問題です。①「上の前歯が前方にでる上顎前突」噛み合わせが悪くなるだけでなく、前歯が出てしまうことで唇が閉じ難くなって、いつも口を開けている癖がつき、口呼吸の習慣に繋がりやすくなります。口呼吸は感染しやすくなったり、全身の健康への影響が生じます。②「上下の前歯の間に隙間があく開咬」隙間があいていると、隙間に舌を押し込んだり、ごっくんする時舌で歯を押してしまう「舌癖」がつき、舌足らずな発音になることがあります。③「奥歯の噛み合わせが乱れてしまう片側性交さ咬合」

指しゃぶりは発達の上で必要な時期もあったり、子どもの体や心の発達具合で指しゃぶりの対応は違ってきます。

1)乳児期

生後5ヶ月になると、なんでも手にした物を口に持っていってしゃぶるようになります。しゃぶることで物の形や味、性状を学習するためと考えられています。つかまり立ち、伝い歩きをするようになると、指しゃぶりをしていてはこれらの動作が出来ないので減少してきます。しゃぶることには問題ない時期です。

2)幼児期前半(1〜2歳)

積み木を積んだり、おもちゃの自動車を押したり、お人形を抱っこしたりする遊びをするようなると、昼間の指しゃぶりは減少し、退屈な時や眠い時のみにみられるようになります。ですので神経質にならずに子どもの生活全体を温かく見守ります。ただ一日中頻繁にしていたり指ダコができる程の場合は4〜5歳になって習慣化しないための心がけが必要です。

3)幼児期後半(3歳〜就学前)

習慣化した指しゃぶりでも、保育園、幼稚園で子ども同士の遊びなど社会性が発達するにつれて自然に減少することが多いです。しかし4〜5歳になっても指しゃぶりが続く場合は小児科医、小児歯科医、臨床心理士のよる積極的な対応が必要です。

4)学童期

この時期になると指しゃぶりは殆ど消失します。止められない子の場合は小児科医、小児歯科医、臨床心理士による積極的な対応を行います。

 

指しゃぶりは3歳頃までは禁止の必要はありません。子どもの生活のリズムを整え、外遊びや運動をさせてエネルギーを十分に発散させたり、遊びやおしゃべりをして手や口を使う機会を増やすようにすることで指しゃぶりから遠のくことができます。またスキンシップを図るため、また就寝時の指しゃぶりには、寝つくまでの間子どもの手を握ったり、本を読んであげたりして、安心させてあげてください。絵本を読むときは一冊だけといわないで、好きなだけ読んであげると、指しゃぶりを忘れてねむりに入ることができるでしょう。

担当は歯科医師小嶋でした。

これから始まる暑い季節に向けて、体調を崩さないようにどうぞご自愛ください。