歯周病と全身疾患との関わりについて

皆さま、こんにちは。

暖かい日が続いていたので各所で桜が咲き始めていますね。ここ数日は雨が続いていたので散ってしまわないか少し心配です。

 

さて、今回は歯周病と全身疾患についてお話します。

 

皆さんは歯周病に関係する全身疾患がどのくらいあるかご存知ですか?現在、歯周病はかなりの数の全身疾患に影響を与えることがはっきりしてきました。今では106の全身疾患が歯周病と関係していると言われています。

今回は歯周病と心疾患、脳血管疾患の関係についてお話します。

 

歯周病を放置していると、心筋梗塞や脳卒中にかかるリスクが高くなることが注目されています。なぜ、歯の周囲で起きているはずの歯周病が心臓や脳に影響を与えるのでしょうか?

歯周病と全身疾患の関係は炎症と菌血症です。歯周病は細菌による感染症です。歯周病による炎症は、原因刺激がバイオフィルム(細菌の塊)や歯肉の中の歯石です。適切な歯周治療が行われない限り刺激は続くため、慢性的な炎症となります。歯周病によって産生された炎症物質(炎症性サイトカイン)は血流に乗って全身に運ばれます。そしていろいろな組織や臓器にまわり全身疾患を発症、悪化させます。これが、歯周病の全身疾患の発症や悪化に関わるメカニズムの1つです。

次に菌血症についてお話しします。菌血症とは、バイオフィルム(細菌の塊)が歯周ポケットの中のむき出しになった傷口に押しつけられることによって細菌が毛細血管に侵入し、細菌そのものが全身を駆け巡り全身疾患につながることです。血流に乗った歯周病菌は全身の組織、臓器に運ばれ炎症を起こします。鍵は、歯周病が細菌による感染症であることと、細菌の血管侵入にあります。

 

動脈の血管が厚みを増して弾力を失ってしまう状態を「動脈硬化」といいます。血流が悪くなり、血管が詰まったり破れる原因となります。

「心筋梗塞」とは、心臓に血液を送る冠状動脈が動脈硬化を起こし、血流が完全に止まって酸素栄養が届かず心筋が壊死してしまう病気です。

同様のことが脳で起きるのが「脳卒中」で脳の血管が動脈硬化を起こして破れる「脳出血」と、血管が詰まり脳細胞が壊死する「脳梗塞」があります。

 

動脈硬化を引き起こす原因は高血圧、高コレステロール、喫煙などの生活習慣が要因とされていましたが、近年ではウイルスや細菌により引き起こされることが分かりました。動脈硬化を起こした血管壁を調べると歯周病菌が発見された報告もあります。

歯周病の患部から放出された炎症性サイトカインは血管を通じて全身に運ばれます。

この炎症性サイトカインが動脈に入ると、免疫機能の中心的な役割をするマクロファージを刺激。これで活性化したマクロファージは、炎症によって酸化されたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を取り込んで「泡沫細胞」に変身します。

泡沫細胞が増えると、次第に変性して「アテローム」という塊を作り、血管を狭めることになります。血管が狭くなれば、当然、血流が悪くなります。このアテロームは、血栓のもとになる恐ろしい存在です。アテロームができると、動脈がその場で閉塞するか、塊が遊離して動脈に流れていき、詰まって血栓に。これが心臓や脳で起これば、心筋梗塞や脳梗塞を招くことになります。

 

このように歯周病は命を落とす病気とも関係があるのです。口の中をよい状態に保つことは、あらゆる病気を予防することにつながります。

お家でのセルフケアと歯科医院でのメンテナンスをして免疫力を高め、虫歯や歯周病だけでなく病気知らずの健康な体を維持していくようにしましょうね☺︎

 

世田谷区 千歳烏山 浜岡歯科クリニック

歯科衛生士 安部が担当致しました

 

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の軽度から中等度の場合、歯科でもスリープスプリントという治療法があります。これは就寝中マウスピースによって下あごを前に出し気道を広げて呼吸が止まってしまうのを防ぐ治療法です。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。仰向けで寝ている際に舌が喉のほうに沈み込み(舌根沈下)気道を塞いでしまう事により起きます。同室で睡眠する方がいるといびきとして指摘されて気づくことがありますが、一人で寝ている場合だと気づかない場合もあります。睡眠時間は多くとっているの日中眠くて仕方ない、起床時に頭痛がする、体がだるいなどの症状が見られた場合睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われます。そのまま放置しておくと高血圧や糖尿病のリスクを高めたり脳卒中、突然死を引き起こす可能性があります。気になられる方はまずは睡眠外来などを設置しているお医者さんにかかられることをお勧めします。

スリープスプリント治療の流れをご説明します。

①お医者さんで検査を受けた結果、睡眠時無呼吸症候群の軽度から中等度で、スリープスプリント治療が適していると診断された場合、歯科への紹介状(診療情報提供書)を書いてくださいます。お医者さんの紹介状がないとスリープスプリント治療は保険診療外となり全額自費診療となりますのでご注意ください。

②歯科医院の予約をお取りください。その際スリープスプリント治療希望とお医者さんの紹介状があることをお伝えください。

③1日目 当日は必ず紹介状をお持ちください。まずは虫歯や歯周病、顎関節の異常などがないか基本的歯科検査を行います。特に問題がない場合は上下のお口の型取りを行います。虫歯などがあった場合は治療終了後からが望ましいですが、急を要する場合はスリープスプリント製作を優先します。

④2日目 上下別々の状態でマウスピースができてきます。治療チェアを水平に倒し普段の就寝姿勢に近い状態を再現します。マウスピースをセットし顎が痛くない範囲で下あごを前に出し、3か所で上下のマウスピースを仮止めします。一週間程度試用し、顎や歯が痛くないか、効果は実感できるかなどチェックしていただきます。

⑤3日目 試用した結果問題がなければ上下のマウスピースをしっかり固定して完成です。問題があった場合は上下のマウスピースの位置関係を変更して仮止めし再度試していただきます。よくなるまで繰り返します。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる方はまずはお医者さんにご相談ください。

世田谷区 千歳烏山 浜岡歯科クリニック

歯科医師 阿部が担当しました。